ホームはじめに>総会での宣言

2009(平成21)年度通常総会

森づくりで脚光を浴びるのは植樹ですが、その後の地道な下草刈などの育林活動をする人たちは少ないのが現状です。大切なのは、木を植えた人たちが、その後の下草刈などに参加して苗木を育てることです。寄付金や税で、植樹後の森づくりに間接的に貢献する考え方もあると思いますが、寄付金や税が自分で植えた木を育てるために使われているとは限りませんし、森づくりの過程も見えません。また、植樹の後の下草刈ができず、せっかく植えた苗木を枯らしてしまい健全な森づくりができないこともあります。自分で植えた苗木を、自分で汗を流して育てることで、森林を通しての環境問題に対する取り組みへの実感・達成感が認識できます。
そのために、森づくり活動に、継続して参加するボランティアと、森づくり活動を自らコーディネートするリーダー的ボランティアの育成を目的として、「森づくりボランティア養成セミナー」を開催しました。環境啓発の一環として取り組んだ植樹は、その後の育林も責任を持って取り組む必要があります。

森林環境税の導入から3年が経過し、ボランティア団体や企業による森づくりが進んできました。森林環境税の森づくり活動助成は、自己資金が少ない民間ボランティア団体にとって、森づくりを進めていくための資金として有効に活用されています。
森林環境税の企業の森づくりでは、植樹は企業が実施しますが、その後の下草刈等の育林作業は、森林組合等に委託する制度になっています。企業の森づくりが、企業が環境を配慮しているとの広報として利用されたり、森林組合等の業者の仕事を生み出すことになっていないでしょうか。また、巨額の国家予算を投入した拡大造林の負の影響を県民が補っていることになっているのかもしれません。
人の介入による森づくりの他に、人が介入しない天然の森林づくりもあります。スギを伐採した後や山斜面崩れがあった後は放置しておけば、自然災害に強い広葉樹が生えてきます。スギの根元には、元々そこにあった広葉樹の種がシートバンクとして眠っています。スギが伐採されれば、広葉樹の種が芽を出して、本来の森林に戻っていきます。天然の森づくりは、時間はかかりますが、多くの手間や費用を必要としません。
人が介入してのボランティアによる森づくりや企業による森づくりと平行して、天然の森林づくりも必要なことです。

森林環境税は5年間の時限条例による税金であるため、2年後に見直しが行われることになります。森林環境税の使途については、ボランティアによる森づくりを継続している県民の意見が反映されることが必要です。